補聴器の医療費控除を受けるには?

医療費控除

「補聴器は医療費控除の対象なの?」
「医療費控除の申請はどう行えばいいの?」


上記のような疑問から、このページに辿りついた人も少なくないはず。少しでも補聴器の費用が抑えられるなら、医療費控除を行いたいですよね。

実は補聴器は、2018年から正式に医療費控除の対象となりました!しかし全員が医療費控除になるわけではありません。また、正しい医療費控除の流れを把握しておかないと、手続きができず損をする可能性も…。

そこで、今回補聴器店のアドバイザーである私が、医療費の控除についてご説明。対象者から申請方法まで網羅的にご説明していきます。医療費控除について把握することで、スムーズかつ失敗しない申請ができますよ。

また、医療費控除以外の補助や助成金制度についても合わせてご紹介させて頂きます。

最初に、医療費控除について改めてご説明です。

この記事を書いた人
山田 元一(やまだ もとかず きこえのお助け隊
「最近聞こえが悪くなった…」このような悩みをお持ちの方も少なくないのではないでしょうか。しかし、聞こえについて相談できる人や、機会はそう多くないのが現状。これまで補聴器の相談を100件以上承ってきた私が、補聴器や聞こえ全般に関する情報を余すことなくお伝えいたします。


<目次>

  1. 補聴器が2018年から医療費控除の対象に!
    1. 医療費控除とは
    2. 医療費控除をすると、いくら返って来るの?
    3. 補聴器の医療費控除の対象は?
  2. 補聴器の医療費控除の手続き
  3. その他の補助や助成金制度について
  4. まとめ

補聴器が2018年から医療費控除の対象に!

2018年から対象

2018年に補聴器が正式に医療費控除の対象となりました。今までは曖昧に取扱いされていましたが、厚生労働省が国税庁に照会。その回答の結果、補聴器は正式に医療費控除の対象となったのです。

しかし、ここできちんと医療費控除について把握しておくことが重要になります。

なぜなら、国税庁の回答によると全員が控除を受けられる訳ではないためです。あなたが医療費控除の対象者か、確認したうえで購入や申請に進むことをおすすめします。

医療費控除とは

医療費控除とは、購入した補聴器代金の全てが返って来るわけではなく、一定額以上の医療費を支払った場合において治めた税金の一部が返ってくる制度です。

基本的には1月1日から12月31日まで、自分と生活費が一緒である家族の医療費が、※10万円を越えた場合、超えた部分が医療費控除の対象となります。(※その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%の金額)

会社員であれば所得税などが少なくなる、もしくは還付金を受けることができます。年末調整では医療費控除はできませんので、会社員であっても確定申告が必要です。

では実際に申請を行うと、どの程度の額が控除の対象となるのでしょうか。

次で控除額について説明します

医療費控除をすると、いくら返って来るの?

返金額
医療費の控除額は、次の式で計算します。

(実際に支払った医療費の合計額-①)-10万円=②

①保険金で補填される金額。生命保険契約などで支給される入院費給付金や健康保険などで支給される高額医療費・家族療養費・出産育児一時金など。

「10万円」は保険金などの補填費用を除いた、家庭から実際に医療費として出費された金額です。その年の総所得金額等が200万円未満の方は、総所得金額の5%の金額になります。

一般的には上記の計算方法で控除金額を決めます。これはあくまで控除される金額ですので、ここから所得税率で再計算します。所得税率は、収入によって違います。所得による税率は下記の通りです。

課税所得額 税率
1,000円~1,949,000円 5%
1,950,000円~3,299,000円 10%
3,300,000円~6,949,000円 20%
6,950,000円~8,999,000円 23%
9,000,000円~17,999,000円 33%
18,000,000円~ 40%


先ほどの医療費控除額と、上記の表の所得税率で実際に返ってくるお金を次の式で計算できます。

②×所得税率=実際に戻ってくるお金

上記で算出された金額が、還付金などで戻ってくることになるのです。

世帯所得などの様々の条件で計算は違ってきますが、次に簡単な一例をご紹介させて頂きます。

所得300万円の方が、15万円の補聴器を購入した場合

15万円-10万円=5万円
5万円×10%=5000円

※保険金等で補填されなかった場合
※補聴器代のみで医療費控除を行った場合

年収300万の方が、15万円の補聴器を購入して医療費控除を行った場合、5000円が実際に戻ってくる金額になるのですね。

ただ、医療費控除について把握したからといって、補聴器販売店に行くのは早急です。なぜなら、この医療費控除は、全ての方が受けられる訳ではないためです。

また、実は補聴器購入前に必ず行っておかないといけない場所があるのはご存知でしたか?その場所に行っておかないと、医旅費控除の対象者でも申請できないことがあります。

次にご説明させて頂きます。

補聴器の医療費控除の対象は?

対象者

平成30年4月16日に国税庁から提供された、補聴器の医療費控除についての情報が発表されました。その中で補聴器の医療費控除となる人は「医師等による診療や治療を受けるために直接必要」と記載があります。補聴器がなくても、医師の診療や治療を問題なく受診できる方は、医療費控除の対象外となるのです。

基本的に医療費控除は「治療や療養」に必要でなければ対象外。例えば、お店などで購入した風邪薬や胃腸薬、絆創膏などが該当します。「予防や健康増進」のサプリメントや栄養ドリンクなどは、医療費控除の対象外なのです。

補聴器購入を希望している全ての方が対象となるわけではないのですね。また事前に医師から治療や診断で補聴器が直接必要と受診して貰うことが重要。

しかし、ただ単純に医師の診断を受ければいいと言うわけではありません。実は、耳鼻科の中でも限られた医師のみが、医療費控除の診断を行えるのです。

次で、医療費控除の手続きの流れと一緒にご説明します。

また、医療費控除以外にも、補聴器購入の補助や助成金制度があります。そちらに関しては「その他の補助や助成金制度」でご紹介させて頂きます。

補聴器の医療費控除の手順

手続きの流れ

医療費控除は以下の流れで行います。

①補聴器相談医にいる耳鼻科で受診
②補聴器販売店で補聴器を購入
③確定申告

では下記で、上から順に申請までの流れを見ていきましょう!

①補聴器相談医にいる耳鼻科で診察

補聴器の医療費控除の条件として、耳鼻咽喉科学会が認定した補聴器相談医の受診が必要です。

ただ全ての耳鼻咽喉科の医師が、補聴器相談医ではありません。お近くの補聴器相談医は日本耳鼻咽喉科学会のHPを見て頂くと掲載されています。事前に調べておくとスムーズですよ。

また、診断後は医師に補聴器適合に対する診療情報提供書(2018)を記入して貰います。診療情報提供書は、後ほど補聴器販売店に提出しますので、販売店に行くまで大切に保管しておきましょう。

まとめると、補聴器相談医の受診終了後、診療情報提供書を医師に記入して貰うのが第一ステップとなります。

②補聴器販売店で補聴器を購入

次に補聴器販売店では、診療情報提供書を提出して、あなたに合った補聴器を購入します。医療費控除に該当する補聴器は「一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額」。あまりに高価格の補聴器は、医療費控除の対象外となります。

補聴器を購入すると、診療情報提供書の控えと、補聴器の領収書を補聴器販売店から受け取ります。

③確定申告

当該年度の確定申告時に、補聴器を医療費控除の対象として所轄税務署に申請します。

確定申告時に、下記の書類が必要です。

必要書類 ・確定申告書
・医療費控除の明細書
・源泉徴収(原本のみ)
・マイナンバー

確定申告書と医療費控除の明細書は、税務署の窓口もしくは国税庁のホームページからダウンロードすることができます。書類の書き方なども掲載していますので、そちらを参考に進めて頂くとスムーズですよ。

また、診療情報提供書控えと、領収書の提出は不要です。しかし税務署に提出を求められる場合があるので、5年間保存しておきましょう。


上記のポイントをまとめると、次の通りです。

・補聴器を購入する前に、補聴器相談医による受診が必要
・補聴器相談医に情報提供書を記入して貰う
・補聴器販売店で情報提供書控えと補聴器の領収書を貰う
・情報提供書控えと領収書で確定申告する

補聴器購入は、上記のポイントを抑えておくと失敗なくスムーズに行えますよ。

また医療費控除以外にも、補聴器購入の負担を軽減する制度があるのはご存知でしたか?場合によっては、医療費控除以上に補聴器購入の負担を軽減できる可能性があります!

次で補聴器購入による補助や助成金制度についてご紹介します。

その他の補助や助成金制度について

その他の制度

補聴器の補助や助成金制度は、大きく分けて次の3つです。

・障害者総合支援法
・労働災害
・自治体独自による支援策

次で上から順にご説明します。

障害者総合支援法

障害者総合支援法

障害者総合支援法は、障害のある人への支援を定めた法律です。障害者総合支援法の対象者は、障害者手帳が交付され、補聴器の補助・助成金が受け取れます。ただ、対象者はよほどの重度難聴の方に限られます。

障害者手帳の支給は、市区町村が指定する指定医による受診が必要となります。指定医は市区町村の障害福祉課に問い合わせると紹介して貰うことが可能です。

また、障害者総合支援法による補助金は、購入を希望している補聴器の全額がおりる訳ではありません。障害者総合支援法によって決められた価格が基準になります。差額を払うことで、希望する補聴器を購入することもできますが、市区町村によって対応がことなります。

障害者総合支援法については、お住まいの障害福祉課にお問い合わせされることをおすすめします。

労働災害

労働災害

就労していた場所などが原因で難聴を発症した場合、補聴器を無償で支給されることがあります。労災保険の中の義肢等補装具費支給制度による支給です。例えば工事現場など、音がうるさい場所に就労していたことにより難聴が発症した方が対象となります。

労働災害による補聴器の支給は、比較的難聴が軽度でも受給することができます。労災保険は、原則として業種の大きさに関わらず一人でも労働者を雇用している企業は全て加入しています。正社員やアルバイト、パートタイマーは関係ありません。

そのため、就労により難聴を発症した場合は、労災保険により補聴器を支給される場合があります。詳細は労働監督基準署にお問合せ頂ければ幸いです。

自治体独自による支援策

自治体独自の支援策

自治体独自によって補聴器の補助・助成金を行っている場合があります。対象は、障害者総合支援法に該当しない聴力(30デシベル~70デシベル)の高齢者と18歳未満の子供が多いです。

自治体独自による支援策の一例は、次の通りとなります。

対象者 市区町村 年齢 条件 金額
難聴児 愛知県一宮市 18歳未満 一宮市内に住所を有する
障害者手帳の対象ではない方
両耳の聴力は70デシベル未満
補聴器の装用が必要と医師から診断されている方が対象
支給額に制限有り
原則1割が利用者の負担
難聴児 大阪市 18歳未満 30デシベル以上、70デシベル未満の軽度中等度難聴
補聴器の器種は、高度難聴用耳かけ型補聴器
支給上限額は52900円
自己負担額は1割
高齢者 千葉県浦安市 65歳以上 難聴のために補聴器が必要であると医師に証明された方
聴覚障害により身体障害者手帳の交付を受けている方は除く
助成額は3, 5000円を限度
一回の助成に限る
高齢者 東京都新宿区 70歳以上 区内在住
医師が補聴器の使用を必要と認めた方
補聴器の種類は、耳かけ型とポケット型のどちらか
利用者の負担金額は2000円


この他にも多くの自治体が、補聴器購入の支援を行っています。購入前に事前に申請が必要な自治体もありますので、詳細は市区町村の福祉課にお問い合わせ頂くと幸いです。

以上、補聴器の医療費控除と、その他の補助、助成金制度についてご説明してきました。

最後に、ここまでの内容を簡単に振り返りましょう。

まとめ

まとめ

下記が簡単なまとめです。

・補聴器の医療費控除は2018年から対象

・医療費控除は、税金の一部が返金される制度

・ただし、全ての人が医療費控除の対象ではないので注意が必要

・医療控除の申請ができるのは「医師による診断・治療のために補聴器が直接必要な人

・医療費控除に該当しない方でも、補聴器購入の支援を受けられる場合もある

・購入前にお住まいの市区町村に、補聴器の補助などがあるか問い合わせるとスムーズ


2018年と比較的新しく医療費控除の対象となった補聴器。手順がわからず不安な方も多かったのではないでしょうか?

上記のことを意識して頂くと、スムーズかつ、失敗しない医療費控除の申請ができますよ。

当記事が、あなたの参考になれば幸いです。

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