
「補聴器」と検索すると「つけない方がいい」といった語句を検索ワードとして見かけます。
結論から言うと、難聴には補聴器が有効です。 補聴器を装用することで、聞こえやすくなるだけでなく様々なメリットがあります。 ただ、すべての人に補聴器が有効というわけではありません。
そこで今回、補聴器をつけない方が良いと言われる理由、つけた方が良い理由、つけないとどうなるのか、つけるタイミング、難聴でも補聴器を装用しない方が良い人など、網羅的にご説明します。

補聴器をつけない方が良いと言われる理由
なぜ「補聴器」と検索すると「つけない方がいい」といった言葉が表示されるのかというと、補聴器の購入や装用について悩んでいる方が多いためです。
GoogleやYahoo!では、「補聴器 付けたがらない」や「補聴器 聞こえない」といった検索データをもとに、「この語句を検索した人は、他にもこんな語句に関心を持っています」といった形で、関連性の高いキーワードを表示します。
その結果、「つけない方がいい」といったネガティブな語句も一緒に表示されるのです。
また、「つけない方がいい」という検索語句の中には、「片耳だけにつけない方がいいのか」「24時間つけない方がいいのか」といった、装用方法や使い方に関する疑問も含まれています。 検索結果上、装用方法や使い方がネガティブな語句と区別されないことも原因です。
つまり、補聴器をつけない方が良いと言われる理由は「補聴器の装用に迷いがある人が検索しているから」と言えます。
とはいえ、このような検索がされる理由は、補聴器の有用性に疑問があるからだと推測されますので、そこで次に補聴器をつけたほうが良い理由についてご説明します。
補聴器をつけたほうが良い理由
補聴器をつけたほうが良い理由は次の通りです。
- 聞こえやすくなる
- 音の聞き取りが保たれる
次で上から順にご説明します。
聞こえやすくなる
補聴器を装用する一番のメリットは「聞こえやすくなる」ことです。 今まで聞こえにくかった人との会話やテレビの聞き取り、電話などが、補聴器の装用で聞こえやすくなります。
特に人との会話ではそれが顕著に表れます。 なぜかと言うと、補聴器は周囲にあるすべての音を一律に増幅するのではなく、入ってきた音の発生源を分析しているためです。
補聴器では、人との会話の優先度は高く、人の声は大きく増幅して、それ以外の音は小さくするなどの処理を行います。
そのため補聴器をつけることで会話が聞き取りやすくなり、聞き返すことのストレスなども減るので、精神的にも良い影響をもたらします。
音の聞き取りが保たれる
補聴器をつけた方が良い2つ目の理由は、音の聞き取りが保たれることです。 補聴器を装用して継続的に音を聞いておくことで、単語やその意味を記憶しておくことができます。
反対に音の聞き取りが保たれていないと、「音は聞こえるが理解できない」といった状況になりかねません。 言葉というのは記憶のひとつで、聞いた音が何であるかを脳が判断しており、例えば「りんご」という単語を聞いたとすると、「食品、赤い、丸い」などの情報を記憶の引き出しから取り出してきています。
これは継続的に反復して引き出すことで維持されるのですが、音の情報が少なくなると、すぐに情報を引き出すことが難しくなります。 音の聞き取りを保つためにも補聴器をつけることをおすすめします。
以上のことから補聴器の装用はおすすめです。 補聴器をつけることで、音が聞こえやすくなるばかりか、言葉の聞き取りを保つことができます。
反対に、補聴器を装用せずに難聴を放置していた場合にどうなるのかといった点を、次にご説明します。
補聴器をつけないとどうなる?
補聴器をつけないリスクとしては次のような点が挙げられます。
- 社会的孤立
- 認知症のリスク
- 身体的・安全面のリスク
次で上から順にご説明します。
社会的孤立
難聴があると社会的孤立を招くことがあります。 音が聞こえにくいことで、周囲の会話についていけず、会話することが嫌になってしまうためです。
そして聞こえにくいことで困るのは当事者だけではなく、周囲にいる家族や友人にも影響があります。 一度で聞き取ってもらえないことは少なからず周囲の人間の負担になります。 最悪の場合、コミュニケーションを諦めてしまうことも少なくなりません。
このような、伝えることの負担、聞くことのストレスが連鎖し社会的孤立を招くことがあります。
認知症のリスク
難聴があると、認知症のリスクが高まるともいわれています。 厚生労働省が発表した新オレンジプランでは、予防できる認知症の要因として難聴が挙げられています。
また聞こえと認知機能に関してカスケード仮説と呼ばれる説があり、これは音情報が減少(コミュニケーション障害)、それに伴い聴覚に関わる神経活動が低下(社会活動の減少)、脳構造が変化(うつ・社会的孤立)、脳萎縮となり認知機能が低下するという説です。
身体・安全面のリスク
難聴があると交通事故といった危険性があります。 音が聞こえないことで、車や自転車の接近に気づくことが遅れるためです。
さらに、転倒などのリスクも高まり、難聴が10㏈悪化することで、転倒のリスクが1.4倍高くなるというデータがあります。 高齢者の転倒は、打撲や骨折だけでなく、最悪の場合寝たきりになるなど非常にリスクが高くより注意をはらう必要があります。
では次に具体的な補聴器をつけるタイミングについてご説明します。
補聴器をつけるタイミングについて
日本聴覚医学会難聴対策委員会は、補聴器を装着する基準として40㏈以上の難聴をおすすめしています。 40㏈以上の難聴というのは下記のような聞こえのことです。
是非、自分の聞こえやご家族の聞こえと比較して参考にしてみて下さい。
※スマホの方は横にスクロールできます。
| 程度分類 | 平均聴力(㏈) | 自覚 | 推奨の対応 |
| 正常 | ~25㏈ | ||
| 軽度難聴 | 25db以上~40未満 | 小さな声や騒音下での会話の聞き間違いや聞き取りの困難を自覚する | 会議などの聞き取り改善目的では、補聴器の適応となることもある |
| 中等度難聴 | 40以上~70未満 | 普通の大きさの声での会話の聞き間違いや聞き取り困難を自覚する | 補聴器のよい適応となる |
| 高度難聴 | 70以上~90未満 | 非常に大きい声か補聴器を用いないと会話が聞こえない。しかし聞こえても聞き取りには限界がある | 補聴器 |
| 重度難聴 | 90以上~ | 補聴器でも聞き取れないことが多い | 人工内耳の装用が考慮される |
難聴の程度分類
日本聴覚医学会難聴対策委員会 2014年
さて、ここまで補聴器をつけた方がいいことについてご説明しましたが、冒頭に言った通り聞こえが悪いと感じられているすべての方に補聴器が推奨されるというわけではありません。 聞こえが悪い(難聴)でも補聴器をつけない方が良い人についてご説明します。
聞こえが悪い(難聴)にかかわらず補聴器をつけない方がいい人
聞こえが悪いのに補聴器の装用を進められない人は次の通りです。
- 手術や薬で治る人
- 補聴器の効果がない人
次で上から順にご説明します。
手術や薬で治る人
伝音性難聴で聞こえが悪くなっている場合は、手術や薬といった治療で聞こえが改善する可能性があります。 伝音性難聴とは、音の伝わる箇所に問題がある難聴で、耳垢詰まりや中耳炎、鼓膜裂傷などが挙げられます。
このような難聴の場合、手術や薬で聞こえが改善する可能性があるため補聴器が不要になることが多いです。
補聴器の効果がない人
音が全く(またはほとんど)聞こえない人も、補聴器の装用をおすすめできません。 聞こえが悪い方の中には、脳や細胞の原因から聞こえが悪い場合があります。
補聴器は「音を大きくする」機械ですので、音を聞き取る箇所に原因があると音を大きくしたところで聞こえやすくなるわけではありません。 聞こえが悪くなっている根本的な原因の治療が優先されます。
【まとめ】まずは医療機関の診断を
補聴器をつけた方がいいのかは、難聴の原因次第です。
まずは耳鼻咽喉科で難聴の原因を診断してもらってください。 そこで補聴器が有効な難聴と診断されれば、補聴器を検討するという次のステップに進むことができます。
以上、当記事があなたの参考になれば幸いです。




