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弊社では当記事に関してのご質問はご対応致しかねます。
詳細はお住まいの税務署にお問合せください。
※2019年11月の情報です。
「補聴器は医療費控除の対象なの?」
「医療費控除の手順は?」
上記のような疑問から、このページに辿りついた人も少なくないはず。少しでも補聴器の購入費用が抑えられるなら、医療費控除を行いたいですよね。
補聴器は、2018年から正式に医療費控除の対象となりました!しかし全員が医療費控除になるわけではありません。また、正しい医療費控除の流れを把握しておかないと、手続きができず損をする可能性も…。
そこで、今回補聴器店のアドバイザーである私が、補聴器の医療費の控除についてご説明。対象者から申請方法まで網羅的にご説明していきます。ここを見て頂くと、スムーズかつ失敗しない申請ができますよ。
目次
補聴器が2018年から医療費控除の対象に!
2018年に補聴器が正式に医療費控除の対象となりました。今までは曖昧に取扱いされていましたが、厚生労働省が国税庁に照会。国税庁の回答の結果、補聴器は正式に医療費控除の対象となったのです。しかし、国税庁によると全員が医療費控除を受けられる訳ではありません。あなたが医療費控除の対象者か、次で確認したうえで購入や申請に進むことをおすすめします。
補聴器の医療費控除の対象者
平成30年4月16日に国税庁から、補聴器の医療費控除について下記の情報が発表されました。
医師による診療や治療などのために直接必要な補聴器の購入のための費用で、一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額は、医療費控除の対象となります。 補聴器が診療等のために直接必要か否かについては、診療等を行っている医師の判断に基づく必要があると考えられますので、一般社団法人耳鼻咽喉科学会が認定した補聴器相談医が、「補聴器適合に関する診療情報提供書(2018)」により、補聴器が診療等のために直接必要である旨を証明している場合には、当該補聴器の購入費用(一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額に限ります。)は、医療費控除の対象になります。
国税庁HP:https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/180416/index.htm
上記の文章の中のポイントは、「医師等による診療や治療を受けるために直接必要」という点。補聴器が医師の診療に必要と証明できれば、医療費控除を受けることができます。突発性難聴や老人性難聴、耳鳴りなど病気の種類に関わらず、医師の診察に補聴器が必要と証明できれば医療費控除を受けることができるのですね。
反対に補聴器がなくても、医師の診療や治療を問題なく受診できる方は、医療費控除の対象外となるので注意が必要です。
基本的に医療費控除は「治療や療養」に必要でなければ対象外となります。例えば、お店などで購入した風邪薬や胃腸薬、絆創膏などが医療費控除に該当します。「予防や健康増進」のサプリメントや栄養ドリンクなどは、医療費控除の対象外です。よく、補聴器と一緒に販売されている眼鏡も基本的に該当しません。
「じゃあ、補聴器の電池や修理代は?」
ここまでの説明で、上記のように思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
治療や療養のためなら、補聴器を使うのに必要な電池や修理代金も医療費控除の対象になるように思いますよね。補聴器を使用するために、買う必要がある電池。必要経費なら、医療費控除に申請したいところ…。
次で、詳しくご説明します。
電池代や修理代金は対象?
結論から申し上げますと、電池代や修理代の医療費控除は、それぞれの地域の税務署の判断によります。医療費控除に対しての医師側のQ&A資料が一般社団法人日本耳鼻咽喉科学会のホームページにあります。
ホームページによると、基本的に電池や修理代は医療費控除の対象外とのこと。また別に購入したイヤーモールドなどの付属品も同様です。ただ、最終的な結論は地域の税務署の判断によります。
地域によっては、電動ぺースメーカーの電池代が医療費控除の対象になることから、各税務署の判断によるところが大きいようです。
詳細につきましては、お住まいの地域の税務署にお尋ね頂ければ幸いです。
医師の診察に補聴器が必要な方が、当該補聴器の購入費用を軽減できるのが医療費控除です。しかし、医療費控除を行ったとしても補聴器購入費の全てが控除されるわけではありません。
次で、医療費控除で返ってくるお金についてご説明します。
実際にいくら戻るの?
家庭によって異なる還付額
医療費控除は、購入した補聴器代金の全てが返って来るわけではなく、一定額以上の医療費を支払った場合において治めた税金の一部が返ってくる制度です。
基本的には1月1日から12月31日まで、自分と生活費が一緒である家族の医療費が、※10万円を越えた場合、超えた部分が医療費控除の対象となります。(※その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%の金額)
会社員であれば所得税などが少なくなる、もしくは還付金を受けることができます。年末調整では医療費控除はできませんので、会社員であっても確定申告が必要です。
では実際に申請を行うと、どの程度の額が控除の対象となるのでしょうか。
次で、医療費控除の返金額について説明します
年収300万円の場合の計算方法
医療費控除額は、次の式で計算します。
(実際に支払った医療費の合計額-①)-10万円=②
①保険金で補填される金額。生命保険契約などで支給される入院費給付金や健康保険などで支給される高額医療費・家族療養費・出産育児一時金など。
「10万円」は保険金などの補填費用を除いた、家庭から実際に医療費として出費された金額です。その年の総所得金額等が200万円未満の方は、総所得金額の5%の金額になります。
一般的には上記の計算方法で控除金額を決めます。これはあくまで控除される金額ですので、ここから所得税率で再計算します。所得税率は、収入によって違います。所得による税率は下記の通りです。
課税所得額 | 税率 |
1,000円~1,949,000円 | 5% |
1,950,000円~3,299,000円 | 10% |
3,300,000円~6,949,000円 | 20% |
6,950,000円~8,999,000円 | 23% |
9,000,000円~17,999,000円 | 33% |
18,000,000円~ | 40% |
先ほどの医療費控除額と、上記の表の所得税率で実際に返ってくるお金を次の式で計算できます。
②×所得税率=実際に戻ってくるお金
上記で算出された金額が、還付金などで戻ってくることになるのです。
世帯所得などの様々の条件で計算は違ってきますが、次に簡単な一例をご紹介させて頂きます。
所得300万円の方が、15万円の補聴器を購入した場合
5万円×10%=5000円
※保険金等で補填されなかった場合
※補聴器代のみで医療費控除を行った場合
年収300万の方が、15万円の補聴器を購入して医療費控除を行った場合、5000円が実際に戻ってくる金額です。年収が400万円であれば、還付金は1万円になります。基本的に、医療費控除は所得が多いほど還元率が高いとされています。
このように、医療費控除はきちんと手順を踏めばお金が戻ってくるお得な制度です。しかし、手順を間違えると医療費控除を行えないなんて事態に…。
次で、医療費控除の手順をきちんと把握しておきましょう。
補聴器の医療費控除の手順
医療費控除は以下の流れで行います。
①補聴器相談医にいる耳鼻科で受診
②補聴器販売店で補聴器を購入
③確定申告
では下記で、上から順に申請までの流れを見ていきましょう!
①補聴器相談医にいる耳鼻科で診察
補聴器の医療費控除の条件として、耳鼻咽喉科学会が認定した補聴器相談医の受診が必要です。
ただ全ての耳鼻咽喉科の医師が、補聴器相談医ではありません。お近くの補聴器相談医は日本耳鼻咽喉科学会のHPを見て頂くと掲載されています。事前に調べておくとスムーズですよ。きちんと耳の状態を、医師に検査してもらい補聴器が必要と証明してもらいましょう。
また、診断後は医師に補聴器適合に対する診療情報提供書(2018)を記入して貰います。診療情報提供書は、後ほど補聴器販売店に提出しますので、販売店に行くまで大切に保管しておきましょう。
まとめると、補聴器相談医の受診終了後、診療情報提供書を医師に記入して貰うのが医療費控除への第一ステップとなります。
②補聴器販売店で補聴器を購入
次に補聴器販売店では、診療情報提供書を提出して、あなたに合った補聴器を購入します。
医療費控除に該当する補聴器は「一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額」。あまりに高価格の補聴器は、医療費控除の対象外となります。
補聴器を購入すると、診療情報提供書の控えと、補聴器の領収書を補聴器販売店から受け取ります。
③確定申告
当該年度の確定申告時に、補聴器を医療費控除の対象として所轄税務署に申請します。確定申告時に、必要な添付書類は下記の通りです。
・医療費控除の明細書
・源泉徴収(原本のみ)
・マイナンバー
確定申告書と医療費控除の明細書は、税務署の窓口もしくは国税庁のホームページからダウンロードすることができます。書類の書き方なども掲載していますので、そちらを参考に進めて頂くとスムーズですよ。また、診療情報提供書控えと、領収書の提出は不要。しかし税務署に提出を求められる場合があるので、5年間保存しておきましょう。医療費控除のお金などは、確定申告を行って約1~2ヶ月で還付されることが多いようです。
上記のポイントをまとめると、次の通りとなります。
・補聴器相談医に情報提供書を記入して貰う
・補聴器販売店で情報提供書控えと補聴器の領収書を貰う
・情報提供書控えと領収書で確定申告する
補聴器の医療費控除は、上記のポイントを抑えておくと失敗なくスムーズに行えますよ。
また医療費控除以外にも、補聴器購入の負担を軽減する制度があるのはご存知でしたか?場合によっては、医療費控除以上に補聴器購入費を軽減できる可能性があります!
次で補聴器購入による補助や助成金制度についてご紹介します。
その他の補助や助成金制度について
補助・助成金制度 | 対象者 | 条件 |
障害者総合支援法 | 障害者総合支援法に該当する高度難聴の方 | 障害者手帳の交付など |
労働者災害補償保険法 | 就労によって難聴になった方 | 障害者等級11級の該当など |
自治体独自による支援策 | 子供の難聴や、高齢者の難聴を対象 | 自治体によって異なる |
上記のような、補助・助成金制度があります。
障害者総合支援法は、障害のある人への支援を定めた法律です。障害者総合支援法の対象者は、障害者手帳が交付され、補聴器の補助・助成金が受け取れます。
ただ、対象者はよほどの重度難聴の方に限られます。また、支給には等級審査などで数か月かかり、障害者手帳の交付が必要です。詳しくは、お住まいの障害福祉課にお問い合わせされることをおすすめします。
労働者災害補償保険法は、就労していた場所などが原因で難聴を発症した場合、補聴器を無償で支給されることがあります。難聴の程度が障害者等級11級の方が対象。また、両耳の難聴であっても1器のみの支給と制限があります。労働者災害補償保険法を利用する場合、労働局に申請を行います。
最後に、自治体独自の支援策についてですが、条件などは自治体によって異なります。基本的に、障害者総合支援法に該当しない聴力(30デシベル~70デシベル)の高齢者と18歳未満の子供を主に対象にしていることが多いです。詳細は、お住まいの自治体にお問合せをお願いします。
補聴器の補助、助成金制度について詳しく知りたい方は下記のページをどうぞ!
以上、補聴器の医療費控除について説明しました。
最後に今までの
≫補聴器購入の保険や給付金制度について内容を簡単に振り返りましょう。
まとめ
下記が簡単なまとめです。
・補聴器の医療費控除は2018年から対象
・医療費控除は、税金の一部が返金される制度
・ただし、全ての人が医療費控除の対象ではないので注意が必要
・医療控除の申請ができるのは「医師による診断・治療のために補聴器が直接必要な人」
・医療費控除に該当しない方でも、補聴器購入の支援を受けられる場合もある
・購入前にお住まいの市区町村に、補聴器の補助などがあるか問い合わせるとスムーズ
2018年と比較的新しく医療費控除の対象となった補聴器。手順がわからず不安な方も多かったのではないでしょうか?
上記のことを意識して頂くと、スムーズかつ、失敗しない医療費控除の申請ができますよ。
当記事が、あなたの参考になれば幸いです。
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