今回、音が聞こえるが言葉が聞き取れない症状の原因を2つご紹介します。また、このような症状に対して補聴器が有用かと言った点も合わせてご説明しますが、症状のある方はしかるべき機関での受診をお願いします。
言葉が聞き取れない原因は、従来の音を聞く過程に問題があるためです。そこで、音が聞こえる仕組みからご説明させていただきます。
音が聞こえる仕組み
音を聞くための仕組みは、外耳、中耳、内耳、蝸牛神経、大脳の連携によって成り立っています。外形上で確認できる耳(耳介)で音を集音した後、外耳道を通り鼓膜に振動で音を伝えます。鼓膜は、次の鼓膜に繋がった小さな3つの骨を経由して音を増幅し、蝸牛に運ばれます。ここで音は電気信号に変換され、聴神経を通って脳で処理されます。脳では電気信号を分析し、届いた音がなんであるかを過去のデータと照合して判断しています。
音が聞こえるが言葉が聞き取れない原因
音が聞こえているのであれば、中耳以降、つまり脳での処理に問題がある可能性が高いということです。では次に発症する確率が高い音が聞こえるが事が聞こえない原因について2つほどご紹介します。
難聴が原因
難聴は、外耳、中耳、内耳のいずれか、またはそれらの組み合わせに問題があることで発症します。音が聞こえているので、言葉が聞き取れない原因ではないように思いますが、聞こえない期間が長く続くと脳への刺激が減り、言葉処理能力も低下します。そのため聞いた音が何であるかがわからない、または判断が遅れてしまい言葉が聞き取れなかったり、わからなかったりするのです。
APD(聴覚情報処理障害)
APDは、聴力には問題がないが、脳の情報処理に障害があるために特定の条件下で言葉が聞き取れない状態を指します。具体的には、雑音の中での会話や複数人との会話が特に困難となります。APDを発症する原因は神経発達症の問題や心理的問題など人によって様々です。日本ではAPDの認知度はまだ低いものの、推定240万人、約2%の人がこの症状を持っていると言われています。
補聴器の有用性
補聴器は、聴力の低下を補うための器具であり、難聴で言葉が聞き取れない方には有効的なことが多いです。補聴器の使用で脳に再び音をいれてあげることで言語処理能力を鍛えることができます。
しかし、APDのように聴力に問題がない場合、補聴器の効果は限定的です。ただし、APDの症状によっては、補聴器が推奨されることもあります。例えば、騒がしい場所での会話が困難な場合、ノイズキャンセリング機能を持つ補聴器が有効となることがあります。
どちらにせよ補聴器の購入については医療機関に相談されることをおすすめします。
まとめ
音が聞こえるが言葉が聞き取れないという症状は、難聴やAPDなどさまざまな原因が考えられます。症状がある場合は、専門の医師に相談し、適切な治療や対策を行うことが重要です。補聴器も一つの選択肢として考えられますが、症状や原因に応じて最適なものを選ぶことが大切です。