利き手や利き足のように耳にも効き耳があるのはご存知ですか?
効き耳の診断方法は簡単。ずばり、電話時に受話器を当てる耳です。あなたはどちらでしたか? 今回、「効き耳の判断方法」「言葉を理解しやすいのは右耳」「補聴器を片耳装用する場合はどちらが良いのか」の3つをご紹介します。
効き耳について
効き手というのは左右の手のうち、より多く使う方の手のことです。無条件で音が入ってくる耳の場合、音を聞きやすい耳です。効き耳は、次の方法で確認できます。
・電話を聞く耳
・ラジオのイヤホンを入れる耳
・ドア越しの会話を聞く時、ドアに置く耳
・箱の中の時計の音を聞くときに、箱に当てる耳
・誰かの鼓動を聞く時に、胸に押しあてる耳
こちらの耳ではなければ違和感を覚えるという方は自然と効き耳を頼りにした聞き方をしています。
右耳の方が言語を理解しやすい
実は人間は右耳の方が言語を理解しやすいです。左が利き耳の人は「え!」と驚かれたのではないでしょうか?効き耳が一番聞こえやすいように思いますよね。 なぜかと言うと、他人の言語を理解する働きをするウェルニッケ野が左脳にしかないためです。
耳から入ってきた音は脳幹を通り反対側の脳に移動します。右耳から入った音は左脳に、左耳から入ってきた音は右脳に移動するのです。反対側に脳幹伝いに通ることで、左右で入ってきた音の時間差から音の方向感や立体感などを判断しています。
ただ、他人の言語を理解する働きをするウェルニッケ野は左脳にしかありませんので、左耳で聞いた言語は右脳から左脳に再び戻ります。
右が利き耳の場合:右耳→左脳の聴覚野→左脳のウェルニッケ野
左が利き耳の場合:左耳→右脳の聴覚野→左脳のウェルニッケ野
右脳で聞いた方が脳幹を通る回数は一回。脳の伝達回路から、右耳の方が言語を理解するスピードが速いのです。
片耳で補聴器を購入する場合は右耳が良い?
補聴器を購入する目的として周囲とのコミュニケーションを挙げられる方は多いです。会話目的なら、ウェルニッケ野をより効率的に生かせる右耳の補聴器を購入した方が良い気がしますが補聴器販売店としては、器種のグレードを下げてでも両耳装用をおすすめします。
「いやいやそうじゃないんだよ、右か左かどちらかなんだよ!」とお叱りの声も聞こえそうですが、両耳装用をおすすめするにはちゃんとした理由があります。 先ほど、大脳は左右で入ってきた時間差を利用して音の方向感を得ていると説明しました。これは大脳が音源に近い耳の方が早く大きく届くことを利用しているためです。
両耳装用で、左右の音の大きさを正しく(自然に)得られ、音の方向感や立体感などがわかります。 音の方向感は日常生活には大切なことで、方向感があることで後ろからの車も気付くことができますし、目の前にいない誰かの呼びかけにもすぐに答えることができます。そのため、補聴器は利き耳でも右耳でもなく両耳装用をおすすめするのです。
以上、効き耳についてご説明しました。また、絶対に片方の補聴器を購入したいという方は、聴力測定の結果から慎重に判断する必要がありますので、耳鼻咽喉科に相談してください。