耳かけ型は、眼鏡のように耳にかけて使用する補聴器です。
日本国内に流通している補聴器の約66%が、耳かけ型というのはご存知でしたか?
耳かけ型が人気の理由は、全ての難聴程度に対応でき、幅広く機能や価格を選べるためです。聞こえが悪いほとんどの方に、耳かけ型をおすすめすることができます。
ただ、全ての方に最適かと聞かれるとそうではありません。また、実は耳かけ型でも選ぶ種類によって音の聞こえ方が違うというのはご存知でしたか?
今回、補聴器店のアドバイザーである私が、耳かけ型補聴器の特徴、価格、種類、選び方、最新機能などをご紹介します。ここで、耳かけ型について把握すると、あなたにぴったりな補聴器を探すことができますよ。
最初に各補聴器の特徴から改めてご説明します。
<目次>
耳かけ型補聴器が人気の理由
耳かけ型、耳あな型、ポケット型の特徴
各補聴器の特徴は下記の通りです。
形状 | 耳かけ型補聴器 | 耳あな型補聴器 | ポケット型補聴器 |
価格 | 約5万円~約60万円(片耳価格) | 約6万円~約55万円(片耳価格) | 約3万円~約8万円 |
難聴程度 | 軽度~重度難聴 | 軽度~重度難聴 | 中等度~高度難聴 |
性能 | シンプル機能~高機能な器種まで様々 | シンプル機能~高機能な器種まで様々 | シンプル機能な器種が多い |
メリット | 聴力関係なく使用できる 価格と機能を幅広く選ぶことができる ハウリングが少ない |
目立ちにくい 耳本来の方向感を得られる |
手元で簡単に操作できる 価格が安い |
デメリット | 目立ちやすい 汗水に弱い |
ハウリングがおきやすい | コードが邪魔になる 衣ずれの音が気になる |
耳かけ型は、聴力に左右されず、価格や機能が充実しているのが人気の理由。しかし、その一方で耳かけ型は目立ちやすい、汗水に弱いなどのデメリットもあるのです。そのため、次のような方は耳かけ型以外の補聴器をおすすめします。
・補聴器が目立つのが嫌な方
・音量などの、補聴器の操作を簡単に行いたい方
上記のような方は、耳かけ型以外の種類がおすすめです。
ただ、最近では耳かけ型のデメリットもほとんど改善されています。
次に詳しくご説明します。
改善されつつあるデメリット
補聴器全体の小型化に伴い、最近の耳かけ型は非常に小さいです。小型のため、耳に隠れてしまい注視しなければほとんどわかりません。
次に汗水に弱いという点は、防塵防水対応の器種を選べばほとんど問題ありません。中でも、IP68と記載された器種は、「完全な防塵構造で、水面下での使用が可能」という非常に防水防塵性に優れた補聴器です。防水防塵機能に対応した器種を選ぶことで、汗水を気にする必要なく補聴器を使って頂けます。
ただ、完全防水ではないので、できるだけ汗や水を避けることは大切です。また湿気によって故障する恐れもあるため、耳かけ型に限らず使用していないときは乾燥ケースにいれておくことがおすすめです。乾燥ケースなどのアクセサリーは、数千円から1万円程の価格で購入することができます。
最近ではデメリットの改善が進みほとんど気にならなくなってきました。
また、耳かけ型は仕組みによって種類が違うのはご存知でしたか?
種類が違うと音の聞こえ方や、大きさも違います。次に耳かけ型の仕組みからご説明します。
耳かけ型の種類と仕組みと選び方
耳かけ型の仕組み
耳かけ型の仕組みとしては、最初に本体に内蔵されているマイクが周囲の音を拾います。次に、ICチップで雑音の抑制など、音の処理をするのです。処理された音はレシーバーに出力され、耳栓に伝わります。耳栓から出力された音は、耳から脳へと届きます。
この一連の流れが、耳かけ型の仕組みです。耳かけ型は、レシーバーが内蔵されている場所で種類が違います。レシーバーの場所によって音の聞こえも変わってくるのです。次で詳しくご説明します。
また、ICチップで音を処理する補聴器は基本的にデジタル式となります。補聴器はデジタル式とアナログ式に分けることができ、一世代前はアナログ補聴器が主流でした。アナログ補聴器は、音を電気信号のまま受取りそのまま増幅するため、雑音も一緒に大きくなるので、必要な音が聞こえにくかったのです。
デジタル補聴器は、音は0と1のデジタル信号で処理されます。デジタル処理を行うことで、会話音や雑音の判断を行ったり、音の方向を制限したりすることが可能。高度な音の調整機能を持たせることができるようになりました。最近では販売されているほとんどがデジタル補聴器です。
耳かけ型の種類
名称 | レシーバーの場所 | 本体と耳栓をつなぐ部品 |
RITA/BTE | 本体(耳の上) | チューブ |
RIC/RITE | 耳栓(耳の穴の中) | 極細ワイヤー |
補聴器本体にレシーバーが内蔵されているのが、RITAタイプ。耳栓とレシーバーが同じ場所にあるのがRICタイプです。最近登場したRICに比較して、RITAは従来型とも呼ばれます。
RICは次のような特徴から、人気があります。
・音の聞こえ
・小型
次で上から順にご説明します。
音の聞こえ
RITAは、本体のレシーバーから出力した音を、チューブに通してから耳栓で聞くタイプです。音がチューブの中を通ることで、反響音やこもり音などの雑音が発生することがあります。
しかしRICは、耳栓とレシーバーと同じ場所にあるため、出力した音をそのまま聞くことが可能。そのため、RICはチューブによる影響を受けず、音質の良い澄んだ音を聞くことができます。RICは、チューブの代わりに極細ワイヤーが、電気信号で音を耳栓まで届けるのです。
小型
RICは耳栓にスピーカーを搭載しています。そのため、スピーカー分のスペースを詰めることで、本体の小型化を実現。RITAと比較して、RICは一回り小型な補聴器が多いのが特徴です。
このようにメリットが多いRIC。ただ、RITAと比較して故障しやすいというデメリットがあります。
次でメリット/デメリットをきちんと把握して、あなたに合った種類を選びましょう。
RITAとRICの選び方は?
RICは、レシーバーが耳の中にあるため、耳垢や耳垂れがあると詰まりや湿気で故障する恐れがあります。また、耳栓までの極細ワイヤーは、ねじれや伸びなどで断線することがあるのです。レシーバーが故障したり、ワイヤーが断線したりすると、音がよくきこえない原因。
そのため、耳垂れや耳の中に湿り気がある方は、RITAをおすすめします。RITAを選ぶことで、故障するリスクを軽減することが可能です。RICは音質が良く、小型な補聴器が欲しい方におすすめ。RITAとRICの価格に大きく違いはありませんので、あなたの耳に合わせて選びましょう。また、RICのレシーバーが壊れた場合は、メーカーによって価格は違いますが、1万円前後で交換対応して貰えますよ。
以上、耳かけ型の種類についてご説明しました。最後に、最新の耳かけ型ついてご紹介します。基本的に、最新機能は耳かけ型に搭載されることが多いです。なぜなら、耳かけ型が最も人気の種類のため。また、耳かけ型の形が高度な機能を組み込みやすいという点もあります。
そのため、耳かけ型の最新を把握すると、補聴器全体の流行りも一緒に把握することができますよ。
最新補聴器の性能、機能、価格
音の調整機能は、各メーカー独自の技術を搭載しています。
ただ、音の調整機能以外に共通している点として、次の2つが挙げられます。
・充電機能
・ワイヤレス機能
次で、上から順にご説明します。
充電機能
片耳価格:約20万円~
充電式補聴器は、電池の取り扱いを減らすことができます。電池交換や購入、処分など、電池の取り扱いの場面は以外に多いもの。このような面倒を軽減するのが充電式補聴器です。また、補聴器の電池は、種類や使用環境によって異なりますが、基本的に1年間で片耳約8000円必要となります。しかし、充電式は、1年間の電気代が約130円と大変お得。補聴器全体の価格を抑えたい方、電池の取扱いを減らしたい方に充電式がおすすめです。
ワイヤレス機能
片耳価格:約10万円~
ワイヤレスは、テレビや電話、スマホと連携する機能です。テレビや電話と連携することで、直接補聴器で音を聞くことができます。直接音が届くので、周囲の環境に邪魔されず、きこえの良い音を聞く音を聞くことができますよ。またスマホと連携すれば、音量調節も手元で簡単に行えます。ワイヤレス機能は、補聴器を楽に使用したい方におすすめです。
最新器種は、補聴器の使用や取扱いが楽で便利ですよ。補聴器をもっと簡単に使いたい方におすすめです。
以上、耳かけ型のご説明でした。最後に今までの内容を簡単に振り返りましょう。
【まとめ】価格、機能、聴力のバランスが人気の理由
下記が簡単なまとめです。
・国内の約66%が耳かけ型
・片耳価格、約5万円から60万円
・耳かけ型はRICとRITAの2種類
・小型で音質の良いRIC
・故障しにくいRITA
・最新器種の特徴は「充電式」と「ワイヤレス機能」
あなたにぴったりの補聴器は、上記のポイントを抑えて頂くとスムーズに探すことができますよ。
また、弊社では耳かけ型補聴器のレンタル/貸し出し、選び方や使い方のご相談もお伺いしています
弊社の取扱いメーカーは、シバントスとGNリサウンドの2社です。
シバントスの補聴器は、9割の難聴者が患っている耳鳴りを抑制する、耳鳴り治療器機能を搭載しています。GNリサウンドは、音響機器の会社です。そのため、優れた音の処理技術で、原音に近い自然な音を聞くことができますよ。
きこえのお助け隊は下記の申し込みフォームからご連絡頂ければ幸いです。