私たちは周囲の音や声を両耳で聞き、右脳と左脳を統合作用させることで、音のある豊かな生活を過ごしています。
しかしながら「補聴器は片耳につけるもの」と思っていたり、イメージを持っていたりする人は多いのではないでしょうか。
実際に、補聴器も両耳に装用することで更に効果を得ることができます。
これから両耳装用の効果と、片耳装用との効果の比較を説明していきます。
主流はどちら?日本と海外で異なる補聴器の両耳装用率
2015年の調査資料だと、日本では補聴器の両耳装用率は約46%と半分以下のため片耳装用が根強いように思われますし、「補聴器は片耳につけるもの」と思っている人が多いイメージがあります。
しかし、ドイツやフランスなどの欧州諸国では70%以上の両耳装用率があって「補聴器は両耳でつけるもの」という考えが当たり前になっています。
とは言え「補聴器を両耳でつける」ということは、1台でも高価な補聴器の支出も倍になりますので経済的な負担が大きくなります。また慣れるまでにわずらわしさを感じたり、両耳に装用することで閉塞感を感じたりする人も多いようです。それでも両耳につけることが主流になってきているのはそれ以上のメリットや効果があるからなのです。
補聴器を両耳装用する5つのメリット
騒がしい場所でも会話が聞き取りやすくなります。
騒がしいところでは、様々な音が様々な場所から聞こえてきます。
左右の補聴器が左右それぞれの聴力に合った働きをすると脳が騒音を排除しながら言葉を聞く能力を生かすことができるようになります。そうなることで騒がしいところでも音が聞き分けやすくなったり言葉が聞き取りやすくなったりします。
音の方向感や距離感がわかりやすくなります。
片耳装用では補聴器をつけていない耳は、聞こえが悪く方向感もつかみにくくなります。
両耳装用だと聞こえの範囲が左右同じになり音源の方向がとらえやすくなります。その為日常生活に潜む危険を回避することがしやすくなります。
片耳装用よりも小さな音で聞き取りやすくなります。
本来ならば人は音を両耳で聞いています。両耳から聞くことで聞き取りの力が最大限発揮されるといわれ、両耳装用によって左右の耳から音が入りバランスよく自然に音が聞こえるので、片耳装用よりも小さな音でも聞き取りやすくなります。
耳が疲れにくくなります。
片目だけでものを見ていると疲れやすくなるように、耳も片耳では疲れてしまいます。
両耳装用にすることで片耳装用のときほど音量を上げなくてよいので、耳への負担が少なく疲れにくくなります。
補聴器をしていない耳の聞き取り能力の衰えを予防できます。
両耳とも補聴器をつけた方がいいのにもかかわらず、片耳のみ装用していると補聴器をつけなかった耳や脳への刺激が少なくなり、次第に聴力が衰えてしまう場合があります。両耳装用することで聴力低下のリスクを減らすことができます。
両耳装用することで最大限の効果を発揮
補聴器は両耳装用する事で最大限の効果を発揮します
補聴器を片耳装用した場合は、聞こえの範囲が片耳装用した方が中心になります。
両耳装用することで聞こえの範囲を左右同じに近づけて音の方向感がとらえやすくなります。
特に、騒がしいところや複数人での会話での聞き取りやすさは片耳装用の2倍から3倍と圧倒的な効果があるといわれています。
また、耳に入ってきた音の多くは入ってきた耳と反対側の脳で処理されます。(右耳→左脳、左耳→右脳)
脳の働きは、右脳で視覚や聴覚などの五感を司り、左脳は言葉や文字などの思考や論理を司る脳といわれています。左右の耳から音が入ることで、左右の脳で処理が可能になり言葉を理解したり、抑揚のある音を楽しんだりすることができ情緒豊かな生活を過ごす事ができるようになるといわれています。
このように、補聴器の使用には両耳装用がおすすめなのです。
ただし、お耳の状態や手先の不都合などによっては必ずしも両耳装用がおすすめとは言えない場合もあります。
『聞こえのお助け隊』ではお客様おひとりおひとりの聞こえの状態やお悩み事に合わせて最適な補聴器選びのお手伝いを行っております。どうぞお気軽にお問い合わせください。