周囲のサポート方法(手助けのヒント、対処方法)
難聴者にとって、日常生活の様々なシーンで不便さを感じることが多々あります。
それは、本人だけでなく家族や周囲の人にも関係する問題です。
コミュニケーションをスムーズに取るためにどの様なことを心がけるといいでしょうか。
それでは、いくつかのポイントを説明していきましょう。
難聴者が抱える問題点
難聴者は大勢の中での会話が聞こえづらい、小さな声で話されると聞こえないなどいろいろな悩みや問題を持っています。
また、難聴は外見からは分かりづらいため、健聴者であれば簡単に思うことや出来る事でも、難聴者にとっては難しくなってしまうことがたくさんあります。
それでは、難聴者の具体的な悩みや問題点とそのサポート・対処方法について紹介しましょう。
◆音声での問題
- 大勢の中での会話や、テレビの音や内容の理解、電子音などが聞こえにくい。
- ある音域の音や高音域には敏感になったりする。
- 男性・女性・子供の声によって聞こえの違いがある。
- 母音はまだ聞き取りやすいが、子音は聞き取りづらい。(さかなとたかな)(しろいとひろい)
- いろんな音が存在するところや、騒音がするところで音を聞き分けるのが難しい
◆コミュニケーションでの問題
- 相手から呼びかけられても聞こえずに、無視したと勘違いされる。
- 何回聞き返してしも内容を聞き取れず、内容が分からない
- 聞こえるふりをしてしまうが、分かっていないので何となく合わせてしまう。
- 話し声が大きくなり怒っていると勘違いされる。
- 他人の話しが聞こえず、一方的な会話になってしまうことがある。
◆日常生活での問題
- 玄関のベル、電話の呼出音、時計や体温計のアラームなどの生活音が聞こえない。
- 外見だけでは健聴者と変わらないので、難聴者と思ってもらうことが出来ない。
- 電車やバス、病院でのアナウンスに気づくことが出来ない。
- 道を歩いていて自転車が後ろを走っている事や、自動車が近づいて来ていても気付くことが出来ない。
- 電話での応対・会議・打合せ・仕事全般的に困ることが多い。
◆身体・メンタル
- 理解されず落ち込み話すことが減る。
- 会話が出来ず内向的になる。
- 思いが伝わらずストレスが増え怒りっぽくなる。
ここからはこのような様々な悩みを抱えている難聴者に、周囲はどのようにサポートすれば良いのかご紹介していきましょう。
難聴者といっても、程度や状況は様々で、先天性の方もいれば年齢と共に低下した方もいます。
また軽度から、重度までそれぞれに適したコミュニケーションの取り方があります。
ここで紹介していくのは、主に補聴器をつけていて、または聴力が残存している方とのより良いコミュニケーションの取り方についての注意点・要点を説明していきます。
ただし、「補聴器を装用しても健聴者と同じように聞こえるようになるわけではない」ことを理解して「補聴器をつけているから聞こえるだろう」と思うのは間違いであると念頭にいれておいて下さい。
人によって程度は違うので聞こえづらい状況、その場合どうすればコミュニケーションがスムーズに取れるのかどのようなコミュニケーション方法がいいのか本人に尋ねてみる。
相手によって柔軟に対応し方法を変えていきましょう。
【ゆっくり、滑舌よく話す】
早口での会話は聞き取りにくく、聞き取れないうちに次の会話が出てくるため、少ない情報では内容が理解できず、会話することにストレスを感じたりします。だからといって会話する際、無理に言葉のリズムはみださないように、滑舌よく丁寧に会話するように心がけてあげましょう。
【顔の見える位置で話す】
会話をするとき、声だけではなく表情や口の形も見て理解しようとします。そのためできるだけ口元や顔全体が見えるよう正面を向いて話しましょう。なるべく面と向かって話すことを意識してください。また正面の方からの方が声や音が届きやすく聞き取りやすくなります。
【相手に合図をする】
難聴者は、話始めに気づくのが遅れるため、会話の始まりを聞き逃してしまうので、話始める前に相手の名前を呼んだり、肩をたたいたり、こちらに顔を向かせてから話し始めましょう。
【通じにくい時は別の言い方をする】
聞き取れていない、聞き返されることが多い時は言い方を変えてみる。言葉や表現を違う言い方にしてみる。「下駄箱→靴入れ」「7日(なのか)→ななにち」に言い換えると伝わりやすくなる場合があります。
【身振り手振り・筆談を使う】
騒音が多い場所、複数が同時に話す場合等聞き取りにくい状況では、音だけではサポートしきれないので身振り手振りや筆談で視覚的な手段を取り入れて相手に伝えるといいでしょう。
ここで紹介した例は、ほんの一例になりますが、何よりもほんの少し配慮するだけで、相手は聞き取りやすくなり、コミュニケーションが円滑になります。また相手の悩みを理解し、ぜひ意識して実戦してみてください。