防水補聴器の「IP」の意味とは?

「雨や水ですぐ壊れてしまうの?」
「スポーツや仕事で汗をかくけど大丈夫かな?」
「プールや温泉などで使うことはできるのかしら」

上記のような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?

水に弱い補聴器は、水没による故障が非常に多いです。折角こだわって購入した補聴器が、雨などで故障してしまうのは避けたいところ…。そんなお悩みを解消するのが、防水補聴器です。

実は、この防水補聴器にランクがあるのはご存知でしたか?カタログにある「IP」が防水ランクを表しているのです。防水について把握しておくことはとても重要。いくら防水でも、防水ランク以上の環境で使用すると故障してしまう恐れがあるためです。
今回、補聴器店のアドバイザーである私が、防水補聴器について、特徴、機能、ランク、器種などについてご紹介します。防水補聴器について把握すると、突然の雨でも慌てることなく使用できますよ。

最初に水で故障する原因をご紹介します。

この記事を書いた人
山田 元一(やまだ もとかず きこえのお助け隊
「最近聞こえが悪くなった…」このような悩みをお持ちの方も少なくないのではないでしょうか。しかし、聞こえについて相談できる人や、機会はそう多くないのが現状。これまで補聴器の相談を100件以上承ってきた私が、補聴器や聞こえ全般に関する情報を余すことなくお伝えいたします。


<目次>

防水補聴器の特徴

どれだけ気を付けていても、身の回りに補聴器が水没する危険性は潜んでいます。

次が補聴器を水没させる一因です。

・突然の雨
・スポーツ時などの汗
・入浴時の補聴器の外し忘れ
・トイレなどの水回りでの落下

入浴時にきちんと補聴器を外した場合でも、洗面所などの湿度の高い環境に置いておくと、湿気で故障する恐れがあります。

そもそも、日本の高温多湿の環境は、湿気や結露が起こりやすく、補聴器が故障しやすいのです。世界発の防水補聴器も、日本の環境に着目したリオンという日本の会社が開発したが始まりとなります。

このように、日常生活で水を避けることは大変難しいのです。水の影響をうけた補聴器は、内部の部品が錆びたり、ショートを起こす原因。錆やショートが起こると、次のような症状が補聴器に出ます。

・電源が入らない
・こもり音がきこえる
・音量を上げても音が小さいまま変わらない
・ノイズ音などの雑音が聞こえる

上記のような事態を避けるためにも防水加工された補聴器がおすすめです。防水加工の補聴器は、水による故障のリスクを大幅に軽減。湿気による錆なども防ぐこともでき、補聴器の寿命を延ばすことができます。修理代の節約にも繋がりますよ。

また、上記でもご説明しましたが、防水加工された器種にもランクがあります。購入した補聴器を適切な環境で使用するためにも、次で防水ランクについてきちんと把握しましょう。

「IP」とは?

補聴器のカタログに「IP〇〇」という記載がよくあります。このIPが、機器が防水対応ということを表しています。IPは、世界各国で使用されている、機器の防水・防塵性の等級と、そのテスト方法です。防水性だけでなく、チリやほこりなどの防塵性も含まれています。

IP〇〇の、〇の中に数字が入り、等級かすぐに判断することが可能。1の位が防水性、10の位が防塵性の等級を表しています。最高等級は、防水性は6、防塵性は8です。

IP規格を基にすると、IP68は「完全な防塵構造で、水面下での使用が可能」ということになります。

また、IP68が耳かけ型、IP58は耳あな型に多いという傾向があります。耳あな型は、基本的に使用者の耳の形を採ったオーダーメイドで提供されるためです。オーダーメイドは、ひとつひとつ形が違うため、水の侵入を防ぐ保護膜やパッキンなどを搭載することができません。

ただ、それでもIP58は水面下で30分浸しても使用可能という、優れた防水性を誇ります。このように、最近の補聴器は優れた防水処理が施されたものが多く販売されています。

しかし、完全防水かと言われると、そうではありません。いくら優れた防水性とはいえ、水没する可能性があるのです。

次で、防水対応の補聴器が水没する理由をご紹介します。

防水補聴器でも水没する理由


次が、防水補聴器が水没する理由です。

・電池蓋などから水が浸入するため
・RICなどのレシーバー部分に防水加工されていないため
・本体にヒビが入っているため

次で上から順にご説明します。

電池蓋などから水が浸入するため

IPテストは、電池蓋などを閉じて密閉した状態で行われます。基本的に補聴器内部も防水加工をしているので、水が浸入しても多少であれば問題ありません。ただ、予期せぬところから水が浸入して、故障を引き起こすこともあります。

そのため、電池交換などで、電池蓋を開けているときは注意が必要です。電池交換は近くに水がない環境で行うことをおすすめします。また、電池挿入部分が水の影響を受けると、端子が錆や腐食などの原因です。電池挿入部分に、水が付着した場合は布でふき取りましょう。

RICなどのレシーバー部分に防水加工されていないため

耳かけ型のRICタイプは、故障する恐れが高いです。本来レシーバーは、本体に内蔵されています。しかし、RICは耳の中の耳栓がレシーバーです。音を出すレシーバーが、本体の外にあるため水の影響を受けやすいのです。レシーバーが故障した場合、交換修理することができます。

本体にヒビが入っているため

補聴器本体のヒビから、水が浸入する場合です。水が浸入すると、補聴器内部の部品がショートする恐れがあります。また、水だけでなく湿気も侵入するので、内部の部品が次第に錆びていき、動作に支障きたすこともあります。

このように、防水加工された補聴器でも水で故障する恐れがあります。積極的に水を避けることは必要ありませんが、お風呂やプールなどの使用は避けて頂くことがおすすめです。

ただ、防水加工されていない補聴器と比較して、防水補聴器は水に強いことは確か。GNリサウンドの耳かけ型は、IP57に対応することで汗や湿気による故障が約95%も減少しました。そのため、補聴器を購入するなら、防水タイプが非常におすすめです。

次に実際に販売されている、防水補聴器についてご紹介します。

実際に販売されている防水補聴器

防水補聴器は多くのメーカーが取扱いしています。次が一例です。

パナソニック
リオン/リオネット
シーメンス
GNリサウンド

フォナック
スターキー
ワイデックス
オーティコン

今回、弊社取扱いメーカーである、シーメンスとGNリサウンドの2社からご紹介します。

防水性 シリーズ 値段(片耳価格)
IP68 NXシリーズ 173,200円~
IP67 primaxシリーズ
Intuis3
120,000円~
90,000円
IP57 リサウンド・リンクス クアトロ
リサウンド・リンクス 3D
リサウンド・ベア
220,000円~
180,000円~
88,000円

上記全て耳かけ型。補聴器は非課税商品です。

防水加工の有無で、適応できる難聴程度や性能に違いがある訳ではありません。実際にフィッティングをしてみて、防水補聴器の中から、あなたにあった器種を選ぶことをおすすめします。

まとめ

以上、防水補聴器についてご説明させて頂きました。

最近の補聴器のほとんどが防水加工をされた補聴器です。

防水加工を施すことで、錆や湿気から補聴器を守ることができます。結果として、補聴器の寿命を延ばし、修理代の負担を軽減することが可能ですよ。

補聴器の性能を保ち、修理代の負担を軽減したい方に、防水補聴器をおすすめします。

また、弊社のきこえのお助け隊では、防水補聴器の1週間無料レンタルを行っております。防水補聴器の性能が気になる、このような方は聞こえのお助け隊にご相談頂ければ幸いです。

弊社の相談は下記の申し込みフォームからどうぞ!

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