補聴器は、周囲の人の声や音を難聴者が聞きやすい音量に調整して音を大きくしています。このはたらきの事を増幅と言います。増幅の方法は大きく分けると「リニア増幅」と「ノンリニア増幅」の二通りの方法があって、難聴者の聞こえ方によって得られる効果も違います。ここでは、難聴者の聞こえ方の状態と効果を得やすい増幅方法について 説明していきます。
難聴の状態による聞こえ方の違い
健聴者には小さな音から大きな音まで聞こえていますが、「音の聞こえる範囲」を超えた大きすぎる音は耳の穴を塞いで無意識に大きな音で耳を傷めないようにしています。
難聴者の場合は、難聴の状態によって「音の聞こえる範囲」が異なっています。
詳しくは「難聴とは」でも説明していますが、耳の構造で外耳から内耳までの間で障害がおこる「伝音性難聴」の場合は、「音の聞こえる範囲」は変わらずに大きさがずれている状態(ちょうど健聴者が耳の穴を塞いだ状態)になっているので、小さな音は健聴者よりも聞こえづらく、大きな音は多少うるさい音でも聞こえる場合があります。これに対して、内耳から聞こえの神経および脳の間で障害がおこる「感音性難聴」の場合は健聴者が大きいと感じる音の大きさと変わらないのに、小さな音は聞こえづらくなってしまうので「音の聞こえる範囲」が狭くなっているといわれています。この「音が聞こえる範囲」に合わせて補聴器を調整するために適切な増幅方法を選ぶ必要があります。
音の大きさに関わらず均等に音を増幅する「リニア増幅」は伝音性難聴に効果的です。
聴力のレベルによって増幅量は違いますが、「伝音性難聴」には、小さい音は大きく、大きな音はさらに大きくする「リニア増幅」が有効といわれています。
ただし、大きくしすぎると耳を傷めてしまう恐れがあるので聞こえる範囲を超える音量が出力される場合には出力制限で音を抑える必要があります。
音の大きさによって増幅量が変わる「ノンリニア増幅」は感音性難聴、混合性難聴に効果的です。
音の聞こえる範囲が狭く待っている場合、小さい音は大きく、大きい音になるにつれて増幅量を圧縮してうるさくなりすぎないように大きくする「ノンリニア増幅」が有効になります。
ただし、難聴の種類だけではなく聴力レベルや使用環境などによってもひとりひとりの聞こえに合わせて適切な増幅方法で調整することが原則ですし、どちらの増幅にしても大切なのは、出力を大きくしすぎて耳を傷めることがないように調整する事が重要です。
「聞こえのお助け隊」ではお客様おひとりおひとりの聞こえの状態やお悩み事に合わせて最適な補聴器選びのお手伝いを行っております。どうぞお気軽にお問い合わせください。