補聴器とイヤホンの違いとは?外見・機能・見分け方を徹底解説

補聴器とワイヤレスイヤホンの違い

補聴器とワイヤレスイヤホンは、どちらも「耳に装着して音を聞く」という共通点から外見が非常に似ています。

しかし役割は大きく異なります。補聴器は医療機器として聞こえを補うために使われる一方、ワイヤレスイヤホンはスマホや音楽プレーヤーなど外部機器の音を楽しむための嗜好品です。 この利用目的の違いが、時に周囲の誤解やトラブルにつながることもあります。

結論から申し上げると、補聴器とワイヤレスイヤホンを外見だけで完全に見分けることは難しいです。ただし、特定の形状や装着部位・デザインから、おおよその判断をつけられることもあります。

そこで今回、補聴器とワイヤレスイヤホンの違いと見分けるヒントについてわかりやすくご説明します。

監修者
uto
宇都 彰浩(うと あきひろ   きこえのお助け隊
認定補聴器技能者の資格を持ち、現在はスタッフを束ねるリーダーとして活躍しています。過去に多くの補聴器使用者と接してきた経験を活かし、皆様に信頼できる情報を提供いたします。使用者の方だけでなく、その周囲の方も含め、補聴器に関わる全ての方がより快適になるよう努めています。

※当記事の内容が、すべての補聴器・ワイヤレスイヤホンに当てはまるわけではありません。

補聴器とワイヤレスイヤホンの機能面の違い

補聴器とワイヤレスイヤホンの機能面の違い

補聴器とワイヤレスイヤホンの外見上の違いを説明する前に、まずは機能面の違いからご紹介します。 この違いを理解しておくことで、後ほど説明する外見の違いがより明確になります。

補聴器は、聞こえにくさのある方が周囲の音や会話をより聞き取りやすくするための器械です。管理医療機器に分類されることからわかるように、聞こえの維持・改善の治療として使用されます。 周囲の音をしっかりと聞き取れることは社会生活を送るうえで欠かせず、補聴器の装用は「周囲とつながり、関わりを持ちたい」という前向きな意思の表れでもあります。

一方、ワイヤレスイヤホンは、スマートフォンなど外部機器からの音楽や通話を楽しむために使われるいわば嗜好品です。ワイヤレスイヤホンの中には、ノイズキャンセリングなど周囲の音を積極的に遮断する機能を備えている機種もあり、一方的に相手の声を聞こえなくしている状況から「配慮が足りない」「自分本位だ」と受け取られてしまうことがあります。

そしてワイヤレスイヤホンに対するネガティブな印象が、形状が似ている補聴器にも飛び火してしまうケースもあるのです。次でご説明します。

補聴器がワイヤレスイヤホンに間違われたトラブル事例

補聴器がワイヤレスイヤホンに間違われたトラブル事例

あなたも、ワイヤレスイヤホンを装用していたために店員さんや知人からの声かけに気づけなかった、あるいは逆に自分が話しかけた相手がイヤホンをしていて反応してくれなかった、という経験はありませんか?

相手によっては「無視された」と受け取られてトラブルにつながることも少なくありません。そして、補聴器もワイヤレスイヤホンに間違われてトラブルとなったケースがあるのです。

  • 補聴器を装用しながら自転車に乗っていたら、イヤホンをつけていると誤解されて警察官に止められた
  • 満員電車に乗っていたら強く耳を引っ張られ、「音楽聴いてんじゃねえよ」と怒鳴られた

上記は相手が補聴器をワイヤレスイヤホンと思いトラブルとなったケースです。

このように、実際は補聴器であっても相手の知識不足や思い込みによって誤解されてしまうことがあります。こうした勘違いを防ぐためにも、補聴器とワイヤレスイヤホンを間違わないための見分け方を知っておくことが時に必要となります。 

補聴器とワイヤレスイヤホンの種類

補聴器とワイヤレスイヤホンの外見上の違いを説明する前に、それぞれにどのような形状があるかを把握しておきましょう。

ワイヤレスイヤホンの種類

ワイヤレスイヤホンの種類

ワイヤレスイヤホンは次の3つの種類があります。

カナル型

カナル型は耳道に耳栓を密着させて使用するイヤホンです。遮音性が高く周囲の雑音を気にせずに音楽や動画を楽しめます。耳栓にはシリコンなど柔らかい素材が使われています。

インナーイヤー型

インナーイヤー型は耳の入り口に引っ掛けて装着するイヤホンです。完全に耳をふさがないので周囲の音をある程度取り入れられます。

オープンイヤー型

オープンイヤー型は名前の通り耳穴をふさがないイヤホンです。耳の中にイヤホンを入れないため、蒸れや耳栓による圧迫感がありません。

補聴器の種類

補聴器の種類

世間で流通している補聴器の多くは次の2種類です。

耳かけ型補聴器

耳かけ型は耳裏に補聴器本体を装用し、耳穴までは細いチューブで繋がっています。重度難聴用の補聴器はパワータイプとも呼ばれ、音の出力を確保するためチューブが太くなり本体が大きくなる傾向にあります。

耳穴型補聴器

耳穴型は名前の通り耳穴に装着するタイプの補聴器です。基本的に使用者の耳型を採取して作成されるオーダーメイドが一般的ですが、近年では既成型(レディメイド)も多く販売されています。こちらも聞こえが悪くなるほどに本体が大きくなる傾向にあります。

補聴器とワイヤレスイヤホンの外見上の違い

冒頭でも説明しましたが、補聴器とワイヤレスイヤホンを完全に見分けることは不可能です。とはいえ、いくつかの判断基準があります。こちらに記載している見分け方ですが例外もあります。あくまでご参考までにお願いいたします。

  • 補聴器はワイヤレスイヤホンに比べて目立ちにくい
  • 耳かけ型補聴器は耳穴まで繋がる透明なチューブがある
  • 耳穴型補聴器には取り外し用のテグスがある
  • イヤーモールドを使用する場合もある

次で上から順にご説明します。

補聴器はワイヤレスイヤホンに比べて目立ちにくい

補聴器は目立ちにくい

補聴器は「できるだけ目立たない」ことを重視して作られています。

これは補聴器を着けていることを周囲に知られたくない方への配慮と、日常の大半を耳に装着するので負担がないように小型・軽量に作られているためです。そのため注視しないとわからないくらい小さい器械は補聴器であることが多いです。

一方ワイヤレスイヤホンは、ファッション性やブランドの個性を重視するため、白・黒・メタリック・パステルなどカラーバリエーションが豊富で、着脱の簡単さから本体が大きいのが特徴です。

ただし重度難聴用の補聴器などは音の出力を確保するために目に見えて大きいタイプもあるので注意してください。

耳かけ型補聴器は耳穴まで繋がる透明なチューブ

耳かけ型補聴器は透明なチューブがある

耳かけ型補聴器は、本体を耳の後ろにかけて装着します。

ここから細いチューブやワイヤーを耳穴まで通し、音を耳の中に届ける仕組みになっています。チューブやワイヤーは透明で細く、遠目にはほとんど見えません。このことから注視したときに透明なチューブが耳までつながっている時は補聴器であることが多いです。

ワイヤレスイヤホンのオープンイヤー型は、耳裏から耳穴まで本体が繋がっているモデルもありますが、全体的にプラスチックかつ太めに作られていることが多いです。補聴器のように透明なチューブが使われることはありません。

耳穴型補聴器には取り外し用のテグスがある

耳穴型補聴器は取り外し用のテグスがある

耳穴型補聴器の多くの機種は取り外し用の透明なテグス(細い糸状のもの)が付いており、このテグスを軽く引っ張ることで簡単に取り出せる仕組みになっています。

このテグスは透明なのでほとんど目立ちませんが、よく見ると先端がつまめるように丸く、補聴器から細い糸が出ているのがわかります。ワイヤレスイヤホンにはこうしたテグスは付いておらず、取り外すときは指で本体をつまんで引き抜くのが一般的です。

そのため、テグスの有無は、補聴器とワイヤレスイヤホンを見分ける上でポイントになります。

イヤーモールドを使用する場合もある

補聴器はイヤーモールドを使用することもある

補聴器のなかには、耳の形状に合わせて個別に作る「イヤーモールド(耳栓部分)」を使うタイプがあります。

耳型を採取してオーダーメイドで作るため、装用感が安定し、音漏れやハウリング(ピーピー音)の防止にもつながります。使用者の耳の形を採取して作成されるため、耳の形あった形状をしています。

一方ワイヤレスイヤホンは、基本的に汎用品であり、付属のシリコンイヤーチップやフォームチップをサイズ違いで選んで使うのが一般的です。耳の形に合わせて個別に型取りをすることはほぼありません。 つまり、イヤーモールドが装着されているかどうかも、補聴器である可能性を見極めるヒントになります。

上記のように補聴器とワイヤレスイヤホンには違いがあるのです。しかし、充電式耳穴型補聴器の普及により、ワイヤレスイヤホンと補聴器を完全に見分けることは不可能となりました。

ワイヤレスイヤホンによく似ている耳穴型充電式補聴器

耳穴型充電式補聴器と非常に似ているカナル型のワイヤレスイヤホン

先程いくつか補聴器とワイヤレスイヤホンの違いをご説明しましたが、完全に見分けることはほぼ不可能です。それは耳穴型充電式補聴器がワイヤレスイヤホンのカナル型に見た目が酷似しているためです。この充電式耳穴型補聴器は2020年以降から急速に普及してきました。

もともと補聴器は「できるだけ小型で目立たないこと」が重視されてきましたが、ワイヤレスイヤホンの普及により、老若男女を問わず「耳に何かを入れている」状態が珍しくなくなりました。この変化を追い風に、耳穴型補聴器はデザインやカラーを工夫し、より自然に見えるモデルが次々と登場したのです。

また、補聴器本体が大きくなることで取り外しや手入れが楽になる、多くの機能を搭載できるといったメリットもあります。 こうした「気づかれにくさ」と「利便性の向上」が重なったことが、耳穴型充電式補聴器の需要を伸ばすことになったと考えられます。

まとめ|集音器まで含めると見分けるのは難しい

今回の記事では補聴器を中心に説明してきましたが、実は補聴器とは別に「集音器」と呼ばれる器械も存在します。

集音器も「聞こえをよくするために使う」という点では補聴器と似ていますが、医療機器としての認可があるかないかが大きな違いです。 補聴器は管理医療機器に分類され、販売・調整に資格や専門知識が必要ですが、集音器はそのような制限がなく、比較的自由に販売されています。

そのため、デザインや価格帯も幅広く、イヤホン型・耳かけ型など見た目も多彩です。 このように、補聴器・集音器・ワイヤレスイヤホンがそれぞれ似た形状を持つようになってきた結果、外見だけで完全に見分けることはほぼ不可能になっています。

当記事があなたの参考になれば幸いです。

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