補聴器を装着すると、耳の中がかゆくなることがあります。中にはかゆみが不快で補聴器の使用をやめてしまう方も少なくありません。
そこで今回は、補聴器装用時に耳がかゆくなる原因と、その解決方法について、認定補聴器技能者である私がご説明します。

補聴器を装用するとかゆくなる原因
補聴器で耳がかゆくなる主な原因は、以下の4つです。
・初めての補聴器による異物感
・耳の中の蒸れや湿気
・耳の皮膚の炎症
・アレルギー反応
次に、それぞれについて詳しく見ていきましょう。
初めての補聴器による異物感
補聴器を初めて使うときは、耳の中に「異物がある状態」に慣れていないため、かゆみや違和感を覚えることがあります。
特に最初の数日〜数週間は、耳の皮膚や神経が敏感に反応しやすいのです。多くの場合、徐々に装用時間を延ばしていくことで耳が慣れて、かゆみや違和感は軽減されていきます。
耳の中の蒸れや湿気
補聴器で耳穴がふさがると通気性が悪くなり、耳の中が蒸れてかゆみを引き起こします。
湿った環境は雑菌やカビが繁殖しやすく、外耳道真菌症などにつながることもあります。特に夏場や運動時は汗や皮脂がこもりやすいため、かゆみを訴える方が多くなります。
耳の皮膚の炎症
補聴器が耳に当たることで摩擦が生じ、皮膚に炎症を起こしかゆみを引き起こす場合があります。軽いかゆみから始まり、進行すると赤みや痛み、耳だれが出ることもあります。
炎症が長引くと外耳道真菌症につながるケースもあります。
アレルギー反応
補聴器の耳栓(イヤモールド)に使われる樹脂やシリコンなどが体質に合わない場合、アレルギー反応によってかゆみが起こることがあります。
アレルギー反応が強い場合は赤みや湿疹を伴い、装用を続けるのが難しくなるケースもあります。
補聴器装用時に耳のかゆみを感じたら
補聴器を装着して耳にかゆみを感じた場合は、まず耳鼻科や購入した補聴器販売店に相談しましょう。耳鼻科では塗り薬や点耳薬などによる適切な処置を受けることができます。
補聴器販売店では、耳栓の素材を変更したりフィッティングを調整したりといった対応を受けられるほか、補聴器を清潔に保つ方法についても教えてもらえます。
こちらについては後ほど詳しくご説明します。
かゆみが続くときや炎症などの症状がある場合は自己判断せず、速やかに医療機関を受診してください。
耳のかゆみ対策|補聴器を快適に使う工夫
医療機関での診断によって一時的にかゆみが治まることはありますが、根本的な対策を行わないと再発する可能性があります。そこで、補聴器を装用しても耳がかゆくならないようにするための具体的な対策をご紹介します。
・毎日の清掃と乾燥
・補聴器の装用時間を短くする
・耳型や素材の見直し
次で上から順にご説明します。
毎日の清掃と乾燥
補聴器が汚れたままでは雑菌や真菌が繁殖しやすくなります。かゆみを出さないためにも毎日の清掃と乾燥が大切になります。
補聴器を外したら、専用のクロスやブラシで耳垢や汚れを取り除き、その後は乾燥ケースを使って湿気をしっかり除去しましょう。
近年はUV除菌機能付きの乾燥ケースもあり、より衛生的に管理できます。
補聴器の装用時間を短くする 一日中補聴器を装着していると耳の
中に熱や湿気がこもりやすく、かゆみや炎症の原因になります。時には補聴器を外して耳を休ませ、耳の中に空気を入れることも効果的です。
特に夏場や汗をかきやすい状況では、装用時間を調整することで不快感を減らせます。
耳型や素材の見直し
補聴器によるかゆみは、耳栓やイヤモールドの素材や形状を見直すことで改善できる場合があります。
イヤモールドは一般的にアクリル素材で作られますが、「ハードタイプ」「ソフトタイプ」があり、違和感や痛みを覚える場合はソフトタイプへ変更するのが有効です。また、アクリルよりもアレルギーが起こりにくいシリコン素材を選ぶ方法もあります。
ご自身の体質や耳の状態に合わせて、販売店に相談してみましょう。
まとめ
以上、補聴器の装用で耳がかゆくなる原因でした。
補聴器装用による耳のかゆみは、蒸れ・炎症・アレルギーといった複数の要因で起こります。かゆみや炎症を感じたら無理に我慢せず、耳鼻科を受診してください。
その後は補聴器の清掃や乾燥、装用時間の工夫、耳型や素材の見直しによってかゆみ対策を行えます。
当記事があなたの参考になれば幸いです。